2020年の夏は太平洋高気圧が平年より日本へはみ出し、安定した高気圧が予想されています。
乾燥した猛暑が続く中、気をつけなければならないのが熱中症です。
子供やお年寄りには特に注意が呼びかけられていますが、屋外での作業やスポーツ、また屋内でも、キッチンでの調理などで熱中症になる危険が潜んでいます。
炎天下の中に居なくとも、体内のバランスが崩れてしまうと熱中症の症状を引き起こします。
そもそも熱中症の原因は何なのか、そして屋外・屋内における過ごし方をおさえておきましょう。
熱中症の原因とは
熱中症の主な初期症状としては、めまい・だるさ・倦怠感・吐き気・筋肉痛・体温の上昇などが挙げられます。
さらっと読んだだけでは、少し休んでいれば治ってしまいそうな症状です。
貧血や、ただの疲れと勘違いしてしまう方も多い様ですが、先述した症状が出たら特に注意して下さい。
初期症状のサインを見逃してしまい放っておくと、意識が無くなる・全身のけいれん・脱力感や倦怠感がひどく自分で水が飲めない等、重篤な症状になってしまう事もあります。
熱中症になってしまう原因は、環境によるものと体調によるものがあります。
環境だけが原因ではなく、体調が優れない事と重なって起きる症状なのです。
環境による原因 | 気温・湿度の高さ 風の強さ 日差しの強さ 等 |
体調による原因 | 疲れ 寝不足 体調不良 不慣れな暑さ 運動などによる体内の熱の産出 |
人間の体には体温調節機能が備わっています。
体温が上がり過ぎた時には熱を体の外に出すために、自律神経が働いて末梢の欠陥が拡張し、汗を体外へ排出します。
汗が蒸発する時に体の表面から熱を奪うので、本来であれば発汗により体を冷やしてくれる効果があります。
しかし、暑すぎる環境に長時間居ると、この機能自体が乱れてしまうのです。
体温調節の機能が乱れる事によって体内に熱がこもってしまう、また汗が排出され過ぎてしまい、体内の水分・塩分が急激に少なくなります。
これによって体液のバランスが崩れ、筋肉・血流・神経等、体中の様々な部分に影響を及ぼすのです。
体液のバランスの崩れ・体内の温度管理が出来なくなった事により熱中症の初期症状、めまい・だるさ、そして筋肉のけいれん等が起こります。
もともと持病があり発汗の抑制や利尿作用のある薬を服薬している方は、さらにハイリスクです。暑すぎる環境では体内バランスの崩れが起きやすいので、十分に留意しましょう。
屋外の場合
夏場の屋外での熱中症対策として、その日の気温・湿度を把握しておきましょう。
スマートフォンのアプリ等でもチェックできます。
おすすめアプリ「熱中症警戒計」
今居る環境が暑すぎないかどうか、またご自身の体調が悪くないか敏感になるのがポイントです。
そして体温調節機能がきちんと働くよう、熱を体内にこもらせない為に持ち歩くのをおすすめしたいグッズが4点あります。[st-mybox title="ポイント" fontawesome="fa-check-circle" color="#424242" bordercolor="#424242" bgcolor="#ffffff" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"]
- うちわや扇子など
- 汗を拭くタオル
- 着替え
- 冷感スプレー[/st-mybox]
とにかく汗をかいたらこまめに拭き取りましょう。多汗を感じたら着替えましょう。
扇子・うちわで体温が上がり過ぎるのを避け、冷感スプレーを用いると不快感も防げます。
そして、忘れてはいけないのが水分補給です。
喉が渇きを感じていなくても、こまめな水分補給をしましょう。
そして、なるべく薄着を心掛けて下さい。
ビジネスシーン等で、スーツを着る方は麻素材のものがおすすめです。
他にも風通しの良いコットン・シルク素材等で体温が上がり過ぎるのを防げます。
外仕事の多い方は、首元を冷やしてください。ネッククーラーを使うのがおすすめです。
熱中症は屋外で発症するケースがほとんどです。
発症には体調も大きく関係する為、体調が悪くない日の外仕事は極力控えて下さい。
なるべく日陰で過ごす等、炎天下を避けて過ごしましょう。
何よりも、毎日栄養価の高い食事を摂る事が大切です。
体を冷やしてくれる夏野菜、食欲を増進するシソ・ミョウガ等、食材を工夫しましょう。
他にも、熱中症予防としておすすめの食材は、梅干し・豚肉・スイカ・じゃがいも。
どれもクエン酸やカリウム、水分を多く含み、疲労回復効果や体内バランスを整える効果があります。
屋内の場合
最近では「屋内熱中症」と呼ばれるまでに、屋内での熱中症発症が多く見られています。
熱中症と聞くと外での熱射による熱中症のイメージが強いですが、熱のこもった部屋にいることにより、気づかないうちに脱水症状に陥っている事が多いです。
数字にして40%近くが屋内で熱中症を発症します。
屋内で特に注意したいのは、浴室です。湿度が高い為、熱がこもりやすくなります。
夏場は長時間の入浴は避け、そして入浴後にきちんと水分補給をしましょう。
41℃のお湯に15分入浴すると、約800mlの水分が失われてしまいます。
また、洗濯機・乾燥機の周りも熱が高温多湿になります。
そして、火を使うキッチンでも注意が必要です。なるべく換気をしながらの調理を心掛けて下さい。
建物の上階に上がるごとに熱は逃げにくくなり、昼間に気温が上がった時の熱気が、そのまま夜までこもっていたりします。
もし最上階に住んでいるなら要注意。窓を開けて熱気を外に逃がし、その後は冷房をつけて環境を整えましょう。
また、気をつけなくてはいけないのは睡眠時の寝汗です。一晩で、コップ1杯分の汗を排出しています。起きたら、まず水分補給をしましょう。
暑くて寝苦しい・あまり眠れないという事も体調不良を引き起こし、熱中症の原因になり得ます。
入眠困難な場合は体力を消耗しますし、不眠も大敵です。
もし暑さによる不快感から寝付けない事があるようなら、寝室の環境を整えた方が良いでしょう。
室内の温度を快適にするサーキュレーター
熱中症にならないためには
熱中症は、自覚症状のないまま症状が進行してしまう事があります。
何か少しでもおかしいと感じたら、涼しい場所へ移動して休んでください。
水分補給は大切ですが、ガブ飲み・一気飲みはおすすめ出来ません。
一度に大量に水分を摂っても血液には吸収されず、排泄されてしまうのです。
水分補給はこまめに、多温・多湿の場所では喉の渇きを感じなくとも、少しづつ水分を摂るのが理想的です。
スポーツドリンク等の塩分入り飲料は飲みやすく、また体内に早く吸収されやすいのですが糖分も多く含まれる為、実はお水やお茶で十分。塩分は、食品で摂る様にしましょう。
熱中症対策として経口補水液もよく挙げられますが、実は全くおすすめ出来ません。
経口補水液は食塩とブドウ糖を混ぜ、水に溶かしたものなのですが、500mlのペットボトル1本におよそ1.5gの塩分を含んでいます。
一般的な清涼飲料水の塩分量が500mlに対し0.08~0.15gなのに対し、かなり高い塩分量です。
脱水症状時など緊急性の高い時なら話は別なのですが、特に高血圧や腎疾患などがある方は避けた方が良いでしょう。こまめな水分補給には不向きです。
何より最も気をつけた方が良いのは、ご自身の日頃の健康状態です。
体調の優れない中で炎天下に長時間居たら、熱中症になっても不思議はありません。
体調がいつもより悪いと感じたら、無理をせずに外出などはなるべく避けましょう。
そして、健康を保つためにも普段から体を鍛える習慣を持つとベストです。
また、近くにいる人の具合が悪そうなら気にかけてあげて下さい。
猛暑が続く多湿な日本では、どこにいても夏場は熱中症の危険があります。
外仕事だとしても、上手に休憩を取り水分補給を。
屋内でも暑さを感じたら冷房をつけましょう。
体内に熱をこもらせない様、体が熱くなっている時にはかるくシャワーを浴びる等、きちんと対策をして暑さを我慢し過ぎず、楽しく夏を過ごしましょう。